« 宇宙戦艦ヤマト 復活篇 (なんと「第一部」だそうです。)そして大いにネタバレあり。 | トップページ | Beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)の新ヘッドホン T1 »

"AVATAR" 今度の3Dブームは本物かぁ?????

 AVATARを見てきました。

Avatar


 今ちょっと3D関係の研究会みたいな動きをしているのですが、3D映像否定派の僕に対して、「AVATARが成功するかどうかが鍵になる」って言う人がいるんですよ。でもそれは、AVATARが作品として良いということと、3Dであるということを切り離して、世間の評価を評価することは難しいと思います。

 3Dに関しては大学でホログラフィーの研究をしていたので、とても興味があったし、10年ほど前には立体内視鏡なんてのを研究したり、「見やすい立体視とは」とかの研究もしたいので、とても興味がありました。

 今回の3D映像は(どこの映画館も同じ方式かどうかわかりませんが)、電池の入った眼鏡をかけます。眼鏡の鼻の上には、近赤外光の受光部があり、映像の左右に同期した近赤外線の同期信号を受けます。この信号で、眼鏡の左右の偏光板をオンオフして、右目で右目画像、左目で左目画像を見るようにします。

 さて、今までの3D映画といえば、剣が画面を飛び出して客席に向かって来たり、とにかく画面を派手に飛び出すような立体視作りをしていました。でもこれって疲れるんです。
 というか、画面より奥の画像は3Dアートなどでお馴染みの「平行法」でみますが、画面より飛び出した画像は「交差法」で見ることになります。個人的には交差法が出来ない人ですし、世間一般でも交差法の方が見づらい人が多いと聞きます。

 さらに、ちょっと専門的になってしまいますが、人間が距離を感じるのは3つの要素があります。「目の焦点調節」「目の輻輳」「両目の視差」です。「目の輻輳」と「両目の視差」を同じものとする人もいますが、「目の輻輳」という身体の物理的な動きと「両目の視差」という、得られた左右画像からの脳内処理によるものを別に考えることにします。これはカメラや表示器で3Dを実現するときに明らかに異なる具現化手段を持つからです。

 おっと、なんだか、論文調になってきてしまいました。それに難しい話にする気はありません。

 ようは、自然な立体視とは、例えば1m先の物を見たときに、

 ・1m先にピントが合うように目の焦点調節を行う。
 ・1m先の物を左右の目で見るようにどちらの目も内側を見る輻輳がある。
 ・1m先の物体は左右の目で視差を持って見える。

の3条件が揃っていないと行けない。というか、普段人間はこの3つの条件が揃った(真の)立体像しか見ていないんです。ですから、この条件が崩れると、とても不自然だったり目が疲れたりします。

 で、今までの飛び出す3D映画は

・10mさきのスクリーンにピントが合っている。
*のに*
・(スクリーンから飛び出した)1m先の画像を見たときの目の輻輳になる。
*さらに多くの場合、スクリーンからの距離が客席によって大きく違うので*
・輻輳で得られた距離にその物体があるときの視差ではない。

という不自然さがありました。

 そこで、AVATARでは、
・ピントが合っている被写体、注目している被写体の視差を0として、スクリーン上に位置するようにする。
ということを徹底しているようです。
これだと「目の焦点調節」と「両目の輻輳」の問題は解決します。
さらに、飛び出してくるような被写体はそのほとんどがボケ状態で映されているので(例えば人物が森を歩いているときの手前の草木など)あり得ない視差画像で不自然になることも無い。
今回、ちょくちょく眼鏡を外してどの程度二重像に見えるか確認していたのですが、人物が3人いるシーンで、奥の人物が話している時は奥の人物にピントがあってさらに視差が0になり、そこから手前の人物にピントがゆっくり合ってくると同時に、手前の人物の視差が徐々に0になり、奥の人物の視差が増えるというような操作をしている場面を何度か確認できました。
そのときも、だからといって3人の人物がスクリーン手前から奥に移動したような感じはせず、ピントだけが変わって奥行き感が変わらないように見えました。この時のピント移動の早さも人間の目が自然に追従して、人が移動したように見えない速度に設定しているのだと思います。
更に、、実は人間の目というのは焦点距離が固定なので、望遠や広角の画像を実際に体験することが出来ません。人間は、カメラで撮った写真や、映画、テレビの映像を見て、望遠の画はこんな感じだとか広角で取った画はこんな感じだとか、さらには、マクロでおもちゃを写すと、ピントが合った位置以外はボケるとかいうことまで学習しています。だから、あおりレンズを使って、実際の写真をミニチュアのように見せる手法が存在できるんです。(だって、中心付近にピントが合っていて、距離的に手前や奥のものがボケるということは、レンズを使ったカメラなどでないと人間は見ることが出来ない。だから、平安時代とかの人にミニチュア写真を見せても、それがミニチュアっぽいなんてことは思いつきません)
望遠で見た立体はどう見えれば自然か?広角で見た立体はどうあるべきか?
AVATARでは、その辺りもかなり研究したのだと思います。かなり自然は3Dで見ることができました。

さて、それじゃあ、一気に3Dテレビ、3D放送全盛になるかというと、まずならない。
映像関係の研究者は過去3度も4度も3Dブームが来たのを知っています。
そして、いづれもブームが去っていったことも。。。。

もうテレビの解像度もこれ以上上げても無駄だし、カメラも物理的は限界に近づいている。これ以上消費を拡大するのには3D以外ないから、メーカーは必ず仕掛けてくる。
って読みがあるようですが、、、

残念ながら、眼鏡をかけながらテレビを見たりしたくないですし、眼鏡無し3Dなんてのは実際にはほとんど使い物になりません。

個人的には、本当の3Dはホログラフィック・ディスプレイが出てくるまでお預けだと思っています。間に合わせ的な技術でなにかやろうとして成功した試しはありませんから。

おおっ、映画の感想ですが、3D眼鏡の幅が小さすぎて、頭の大きい僕では、きちんと眼鏡をかけることが出来ませんでした。大中小の3種類くらいは用意しておいて欲しいものです。(映画の感想じゃないな、、、、、)

|

« 宇宙戦艦ヤマト 復活篇 (なんと「第一部」だそうです。)そして大いにネタバレあり。 | トップページ | Beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)の新ヘッドホン T1 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

こんばんは^^
早速見に行かれたのですね^^
にけさんの分野はかなり専門的で難しい~。。。
すごい分析ですね!

構想にかなりかかった映画ということを聞いていたので
とても興味があります(^^)

投稿: ryonouske | 2009.12.27 20:24

この記事へのコメントは終了しました。

« 宇宙戦艦ヤマト 復活篇 (なんと「第一部」だそうです。)そして大いにネタバレあり。 | トップページ | Beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)の新ヘッドホン T1 »