EOS-1D Mark III の高輝度側・階調優先モード
EOS-1D Mark III(1D3)のカスタム機能Fn II-3に、「高輝度側・階調優先」というのがあります。高輝度側の階調表現性が向上すると取説には書かれています。実際に、かなり白飛びが少なくなるので、重宝して常時は「する」の設定で使っています。
実際にどのくらい効果があるのか、またそのときのRAW画像はどうなっているのか確認してみました。
被写体はこのようにグレースケールをPC画面に映して、それを撮影しました。
露出モードをMにして、1D3+35mmF2で、F2、1/100で撮った画像が下です。上が高輝度側・階調補正あり、下がなしです。
この画像の輝度の変化をResDetで見たのが下の図です。
それぞれ上の写真の高輝度側・階調優先を「する」にした場合は、ほぼグレースケールの白まで飽和していないことがわかります。一方下の高輝度側・階調優先を「しない」場合は、チャート中央あたりでかなり白くなり、チャートの右側3/4のところで飽和している様子が見て取れます。
それではそのときのRAWファイルはどうなっているのか。DPPでRAWファイルのヒストグラムを見たのが下図です。
上は、高輝度側・階調補正をしたときですが、RAW信号は飽和していません。下の高輝度側・階調補正をしないときは、飽和していて、グラフの4.0より明るい部分は飽和してしまっています。
これはどちらもF2.0、1/100で撮ったものなので、撮像素子に入る光量は同じですから、撮像素子の出力をADコンバータを通してデジタル化し、ファイルにRAWデータとして記録するところまでの「回路で」飽和していることが想像できます。
次の図は、高輝度側・階調補正をしないで、露出をF2.0、1/200とし、1段階暗く撮影したときのRAWファイルのヒストグラムです。このヒストグラムは上のF2.0、1/100で高輝度側・階調補正をしたときとよく似ています。
つまり、高輝度側・階調補正をするということは、露出は変わらないが、回路のゲインを下げてRAWデータのDレンジを増やし、それを信号処理的に低輝度側のゲイン(ゲインをあげる)・高輝度の階調(早めにニーをかける)を調整してJPEGファイルを作っているということがわかります。
高輝度側・階調補正を「する」にすると、ISOが200~3200に限定されます。
この理由は、ISO100では、撮像素子の飽和が回路の飽和より先に起こってしまうので、ISO200以上の使用二限定して、撮像素子のDレンジを確保する必要があるからです。
またISOが3200までなのは、ISO6400の場合、通常のISO6400のときのさらに倍の回路ゲインが必要なので、回路的に、もしくはノイズ的に限界があるためと思われます。
RAWでしか撮らないというのであれば、なおかつ、現像ソフトがSILKYPIXやPhotoShopなど、カメラ本体の高輝度側・階調補正「する」仕様が反映されない現像ソフトであれば、この機能はあまり意味がなく、単純に1段階マイナス補正をして、現像時に階調を整えればよいと思われます。
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コメント
いつも興味深く拝見しています。
何点か質問があります。
キヤノンのデジカメを持っておらず
RAWファイルのヒストグラムの見方が
よくわからないのですが、横軸の-4,-2,0は
どういう単位を意味するのでしょうか?
階調優先モードの場合、RAWファイル生成までの
回路のゲインが変わり、約1段分暗いRAWファイル
が生成されているということでしょうか?
投稿: ごん | 2007.08.17 18:04
ごんさん>
高輝度側・階調優先にすると、約1段(実際には1段以下みたいですが)くらいRAWデータが出てくるようです。
DPPの横軸の-4,-2,0,2,4とかは、露出の段数を表しているようです。0の設定は何なのかわかりませんが、0の明るさに対して、2だと2段階明るい(つまり4倍明るい)画像、4だと4段階(16倍明るい)画像ということのようです。キヤノンのDPPでは0に対して、+4までの信号しか扱えないようです。(仮に0を18%グレーチャートを適正露出で撮ったときのRAWデータの出力だとすれば、288%の輝度までしか扱えないようです)
投稿: にけ | 2007.08.17 19:00
詳細レポ,参考になりました.
ダイナミックレンジを上げるというか,高輝度側にシフトさせているだけ…
見たいな雰囲気と理解しました.
これ使うと,シャドーにノイズが出やすい気がしていたので,なんとなく,納得出来ました.
マイメニューの上の方に入れて,こまめに切り替えて使ったりしていましたが,RAW撮りの私にはあんまり意味が無かったみたいですね(w
投稿: 備前義景 | 2007.08.17 21:38
備前さん>
備前さんはRAW撮りなんですね。僕はRAW+JPEGですが、ほとんどJPEGで運用しています。シャッターチャンスが良かったのにどうしても露出や色温度がダメだったときにRAWから現像しています。
この件ですが、ダイナミックレンジを上げるというか、
・露出補正を-1する。
・この画像の低輝度、中輝度のコントラストを上げ、高輝度のコントラストを下げて飽和を少なくする。
ということのようです。暗い部分の回路ゲインは上がっていますから、ノイズっぽくなるようです。
RAWで撮ったときでも設定はDPPで活きますから無駄ではないですが、SILKYPIXとかの他社の現像ソフトでは調整がいると思います。
投稿: にけ | 2007.08.18 21:58